急展開の1兆円を超す政府のSOHO支援? SOHOは「びんぼーヒマなし」地獄から脱出できるのか!?


 「SOHOのおきて」の筆頭は、やはり「びんぼーヒマなし」につきる。 しかし、この夏から秋にかけてのヒマなし状況はちょっと様子が違った。 ぼくが昔、SOHO仲間と開発した”大人の夜の遊園地ルナパーク”という、 東京ドームの横にひっそりと朽ち果てている某AM施設の夏期限定(しかも 夜しか開かない)演出運営を、今年はあの藤井フミヤが担当したのだが、 結局それすら行くこともかなわなかった。
 会社では、相も変わらず不況脱出に「知恵をだせ〜!」というクライ アントからの指令に対応すべく、夏休みもまともにとれなかったスタッフ たちが、窓から見える街路樹の季節の変化にため息をついている。
 赤に比べて低調な白ワインの販促のためにフレンチスタイルのHPを 作ったり、ワールドカップも終わりソフト不足で悩むゲーム業界のための 対策とかをしていたのだが、個人的には外部からは理解しずらいという SOHO支援市場参入者のための半分ボランティアの日々で過ぎていったのだ。
 特に与党の参院選敗退後、夏の終わりにかけて各省庁がやっとのことで、 来年度政府予算に従来にないSOHO関連対策費を請求してからは、それま で縁もなかった衆参議員関係者から「SOHOについて聞きたい」コールが 入るようになり、中には「これから担当官のブリーフィングを受けるから、 スマンが3分間でSOHOを説明してくれ」という元大臣まで登場するフィー バーぶり。今はともかく、将来的にはSOHO全体にとって利益になることだし、 一部は自分で撒いた種という(本誌バックナンバー参照)こともあって 連日、ありがたく霞ヶ関や永田町に足を運ばせてもらった。なかには 経企庁や東京都さんのように「こちらから伺いますよ」と、ご丁寧というか 焦っているというか、大変熱心な担当者もいたが、この秋で3年を費やした 僕なりのSOHOプロモーションの一つの区切り目に差しかかっていること だけは実感できた。
 ちなみに、SOHO関連としては分かっているだけで、通産省が来年度新た にSOHO、草の根ベンチャー10万社を創出させるために5000億円、貸し 渋り対策に40兆円、労働省がSOHOの人件費補助に1兆円、郵政省はSOHO 支援通信機材に1000億円規模の予算要求をしているらしい。(9月現在)
 さらに、本誌にもご協力頂いた「SOHOデジタル仕事術セミナー」 (後援/郵政省、全国5会場で約500人参加)では、40を超すSOHO団体、機関に お世話になり、元首相秘書として首相官邸に住んでいた異色の30代SOHO のデジタルコンサルタントである東京ドアーズの村山さんや僕のはなしを 多くの関係者が聞きにきてくれた。有り難いことである。(T_T)
 しかしだ、そうまでして忙しくしてる我が社やSOHOギルドの関係者が 相も変わらず「びんぼーヒマなし」であるというこの現実は一体ど〜ゆ〜 事なのか?
 ある事業家曰く「利益を産まない善意の運動は、利益を産む悪意の主に 貢献している」。最低の不況が深刻化するなか、キャリアをもつ SOHOですら事業の継続は厳しい。1兆円を超す政府SOHO支援をブラック ボックスでしかない既存大組織に収奪させないで有効に機能させるために、 僕らは何をすればいいのだろう...? (ん?結局、帰ってこない夏の日々の恨みがましいグチだったりして)

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●河西保夫(プランニングプロデューサー・SOHOギルド事務局代表)
「月刊SOHOコンピューティング」98年11月号原稿よ


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