「SOHOの将来とギルドついて」関係者トーク
SOHOメーリングリスト/97年春頃より



「SOHOの将来とギルドついて」関係者トーク
 *発言は主にギルド河西、D-ONE藤倉、京都府高島、
 某大学講師(元「朝までTV」企画者)、他(当時)ですが
〜発言者の特定化が不可能なので事務局で抜粋採録しました

Date: Sat, 5 Apr 1997 20:14:51 +0900 (JST)
To: soho@iijnet.or.jp
Subject: [soho 396] Guild雑感とSOHOの定義

●SOHOとは?

・マイクロソフトもAppleもネットスケープもSOHOだったんですよね?
SOHOって、成功するとSOHOではなくなっていくのかな?
それとも、SOHO的信念をもちつつ大きくなるのか、SOHOが細胞分裂していくのか?ど
うなんでしょ?
・「欲望が政府を創作する。すべては市場にきけ!」
(F・ハイエク/1920年代のウイーンの自由経済学者)
「手を出すな!自然であれ。わしゃ知らん」
(老子/2300年前の元祖ヒッピー)
・これ、超笑える(^-^)
・MSは階層の無い組織構造であるという点ではSOHO的、Appleは組織として 機能しているの? というような風土があるし、ネスケみたいに 社内でビリヤードしてたりする雰囲気はSOHOがそのままでかくなっちゃった って感じでしょうね。
・どこもチームまるごと離職・転職して新しいことやったりしてるから、 そりゃ細胞分裂というのかも知れませんね。鋭いご指摘っすね。

●「SOHO Life Style Book」について

・ちゃんとした「メジャーな」物をやろうとしたら うち(クラブハウス)ではもったいないでしょう。やはり大手か新聞社?
・こういう時の「ちゃんとした」というのが怪しい...(^.^;)
SOHOを名乗る方々がこう言ってしまっては、自ら ちゃんとしてない、マイナーな存在である.. と言ってるような感じ。
・それはちがうよ。
ちゃんとしてるからこそ、SOHOと大企業のタスクを考えるのであって、ビジネスは自 己満足でやれるほど甘くはない。
10万部売れるものを1万部しか売らなかったら、そ れを責められるのは、立案者のミスジャッジでしかない。
・さて、それは、そうかも知れませんが、やはり理屈の片面のように思います。 少し丁寧に書いてみますので、また色々と指摘して下さい。
ギルドとして「SOHO Life Style Book」をオーガナイズするということを 前提に書いてます。クラブハウス&参画者ということなら全然的外れかも。
・経営者またはプロデューサーは、資本家に対して責任を取る必要がある わけですから、「10万部売れるものを1万部しか売らなかったら」 資本家に攻められます。
・そうした意味では、河西さんが引用されたNPOの方々の書籍は資本の原理で発行しているのではなく、運動として発行していますから、あまり当たらない例であると思います。彼らはプロデューサとしての責任は果たしているし、誰彼に非難されるものではありません。
むしろ、少数の人のニーズに応え、マスでは手の届かない内容を上手くまとめた好著であると個人的に弁護しておきます。

●大企業とSOHOネットワークの関係

・ギルドというSOHOネットワークにどう大企業の資本を組み入れるのか? 
あるいはそれは何故必要なのか?
 という問題提起、 これが、高島さんと河西さんとの会話から受け取れるものの大切な一つ であるように思います。
・ちなみに、僕は、大企業をタスク・ホルダとして取り込むということ そのものを否定しているのではありません。 商行為や事業の発展戦術としては当然だと。 ビルゲイツはIBMにタスクを担わせて成長したSOHOの好例ですね。
・そりゃビジネスの為には、大企業にタスクを持たせるし、ついでにリスクも ホールドしてもらうことだってやぶさかではありません。 現にこの間ここにご案内させて頂いたメーリング・リスト・サービスなんかは NTTにタスクの多くを依頼しているわけだし....(^.^;)
・でもね、僕はあまり好きじゃないんです、ビルゲイツ。 彼は、MSNでInternetを飲み込むんだって表現していたんだから... つまり、「インフラを共有する」という考え方の出来ない人なの。 まぁやっと方向転換し始めたけど、インターネット紀元前の人という印象。
・小室さんなんかの例も出てましたけど、サラリーもらってガシガシ徹夜して、 それで品質向上に努めるというのはもうやらない。これは前提として、では UNIXやappleOSの世界を見てみれば、商品よりもフリーウェアやシェアウェア の方がその質のきめ細かさ、サポートの品質等が勝っているという現実がある。
・そして、YahooやMosaicは誕生当時ちゃんとしていなかったかというと そんなことはないわけで、だからみんなが支持した。世界に広がった。 当時の彼のは、言ってみれば、インターネットというコミュニティの、 あるいは次世代の社会のプロデューサーみたいなもので、 社会そのものに対して責任感を持ち、それを果たしていたわけです。
・TCP/IPのようなデファクトのオープンなプロトコルに載った社会、 オープン・ネットワークというのは、特定の資本が入ってきた途端に 同レベルの競合を生む環境にもなる危うい環境です。 デファクトになるプラットフォームや、インフォストラクチャを作ろう と思ったら、その点には最大限気を払っておくべきだと思います。
・アンドリューセンがMosaicを生んでネットに流通させた時は大企業の資本に 頼らなかったし、ティム・クーグルとジェリー・ヤンにしたって、Yahooを スタンダードにさせるのに資本の原理は用いなかった。 オープンなネットワークの力を信じて、それを引き出すことに務めたわけです。

●日本のSOHOはどうするのか?

・では、ギルドはどうするのか?
あるいは日本のSOHOはどうするのか?
・商売として考えるならば、「SOHO Style Book」がどこの出版社からどう 出ようが、まぁ売れれば良いわけですが、ギルドってそれでいいの? 橘川さんのところで宣伝会議からデジタル関係の企業プロフィール・ブック のようなものを作って出すという話がありましたが、そうしたものと 「SOHO Style Book」とどこが違うのか? 
編集内容としてじゃなくて、発行の考え方として...
また、もちろん橘川さんを批判・非難しているわけでもありませんm(_・_)m
・いいんですよ、別に違わなくても。ただ、理解の深更の為に色々な 角度から問題提起したいのです。僕自身はオープンなプラットフォームを作れるようなパワーもないし。
・ギルドが受注事業を開発する為のSOHOネットワークであるのか、それとも 河西さんが仰るように、「統一的団体」として業界の様々な地位の向上を 図る団体として機能していくのか.... それは明確にしておくべきだと思います。僕は「統一的団体」というのを、nicのようなものとしてイメージしています。
・そして、ギルドをオープンなネットワークとして、SOHOのビジネスや生活の プラットフォームにしていこうとするなら、その為にはそれなりの 枠組みや仕組みを作っていかなくてはいけないはずです。 と同時に、そこに於けるビジネス(営利/非営利とも)に関する考え方、 ギルドの関与の方法、範囲などについて定めていく段階なのではないでしょうか?
・国内に約20.000以上もの事業組合があるのです。
ギルド賛同人の関係者でも「宣伝企画事業組合」(東京限定)が昨年デビューしてますし、長距離電話割引きのみのサービスで初めての異業種全国型の「ネットコープ」が12月発足。藤倉君の「全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同合」も今月あたり認可がでるらしい。(*97年8月認可設立)

●「統一的」という概念がまだ良く見えていない

・河西さん自身お書きになっているように、SOHOのネットワークということ だけなら雨後の竹の子のようにあるでしょう(^.^;) 統一的団体がない、という意味なのだと思いますが、「統一的」という概念がまだ良く見えていないので、念のため。
・これらの団体や以下のような団体とギルドとの相違点、関係性の在り方について もう少し細かく教えていただけると、皆さん「ギルドが一層よくわかる」になる と思います。
・SOHOとは、テクノ・サビーであるということと関係がないとすれば、ニュービジネス協議会や各地区の青年会議所、中小企業家同友会のような組織や あまたの異業種交流団体があります。個人事業者の為の組合や協会も各業種 (業種区分に問題はあるにしろ)ごと、あるいは異業種の多数の中小企業ネット ワークとギルドとの違いはどのあたりにあるか?

また、テクノサビーであるということでも、 上記の7省庁横断で認可設立された全国情報ネットワーク事業協同組合(NetCoop) や各県で認可されてるマルチメディア系の組合、完全に個人を対象としたものには サイバースペース開拓者組合というのもありますね。

更に、今月末または5月初旬に認可される予定のうちの組合に加え、 橘川さんのとこでもうちの組合のコンセプトと同様の事業協同組合を準備されている という噂を聞きました。
古くは先日お会いになられているFWORKなんかもSOHOネットワークですから、 国内だけで、僕の知ってる範囲だけでも40〜50はありますよ。 福富さんの呼び掛けされてるインターネットユーザーグループなんてのもありますね。 それぞれみな考え方やアプローチは違いますが。
・これをいうのは気が引けるが、ギルドの会員で会費すら払えないSOHOに、SOHOだけでなんとかしようと求めることは、酷であり、 そこまでの責任をもつ必要を僕は感じない。
・そうですね.... 会費って僕も払ってなかったと思います。
ごめんなさいm(_・_)m 払えないってことは無いですが(^.^;) 会員であることの義務、責任、権利や、事務局の体制などについて もう少し明確にすべきでもあるかと...
・いずれ難しい問題ですね。
・大企業を入れるなら入れるでいいんだけど、それならちゃんとした枠組みを明示しておく必要があるだろう、ということ。 ●大企業に頼らない仕組みや組織を作ることにこそSOHOの本質があるので、そちらの議論を本流として展開しすべきなのでは? ということっす。
・でも数年内に大企業によるSOHOサポート機関・組織が巷に溢れるよ(^_^)
・これは全くの個人的見解ですが,『デジタル文化』というものは 『囲い込み文化』ではないかと感じています。  
 わたしは法律を専門的に勉強した訳ではないので,あまり強くは いえないのですが,法律は『囲い込み』によって,その効果が発揮 されるという性格を持っているといえると思っています。 『デジタル文化』と,この点では大変,似通っていると感じています。
・次は、この辺りかな?
・河西さぁ〜ん、ちなみにうちの組合の名称は、 「全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同組合」です。 略して、D-ONE(Digital Open Network Environment)と呼んでます。

「SOHOの将来とギルドついて」関係者トーク
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