2003 総務省 地域コミュニティ公益法人の広報誌より
*『SOHOSTYLE99年保存版』の特集テーマより **SOHOは「small office,home office」の略、自宅や小さな事務所で、個人事業 や自営業をする10人以下程度の小規模事業者のこと ■昔、大多数の人は自営だった ■大政翼賛会以降の労働組合と業界別自営ネットワーク ■サラリーマンライフは幻想。高度成長期の産物 ■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。
■昔、大多数の人は自営だった ■大政翼賛会以降の労働組合と業界別自営ネットワーク ■サラリーマンライフは幻想。高度成長期の産物 ■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。
■昔、大多数の人は自営だった 江戸のころから関東大震災ぐらいまでは、大多数の人は自営でした。侍だとか旗本の 家を商社が借りて入居するような時代でした。ビルディングがない頃です。その後、 丸の内のオフィス街が出来て、今の山手線が出来て、田園調布のようなモダンライフ の住宅地を開発して郊外から通勤してくるスタイルが生まれたのは、まだ70年から 80年くらい前、大正の終わりくらいからですね。その頃、サラリーマンは8%くら いしか東京にいなかった。そういう人たちの東京俸給生活者同盟というのがあったん です。それ以外の人はどうしていたのかというと役人が数パーセントいるんですが、 大多数の人は昔ながらの町民文化というか、勝手にやっている。勝手にやっていると いうのは、相変わらず長屋に住んでいたりとか、お店だとか職人であったりとか。ま あ東京に限らないんですが、今でいうSOHOがふつうの状態でした。 一番上に戻る ■大政翼賛会以降の労働組合と業界別自営ネットワーク 大正時代、1920年代ぐらいから今のモダンライフの原型が出てきて、戦時中に自営 系や中小企業なんかも大政翼賛会のシステムの中に組み込まれて、国と一緒に計画的 な生産労働をやろうということになった。だから国家社会主義的な政策が入ってきて、 片方で工場の労働組合があって、自営系の人は翼賛会に入って、日本の場合はそれが 戦後も残ったんですよ。残って冷戦の左右対立の時代の中で、片方では労働運動、片 方の自営系の人は、自民党などの与党政府に吸収されて縦割りの業界別のネットワー ク・組織の中で仕事をするようになった。生涯仕事が保証されるわけではないが、比 較的行政と縦割りの団体がいい関係を結びながら計画生産できた時代。経済が成長し ていたので、昭和40年代くらいまではそれでうまくいった。しかも都市人口がどん どん増えて農村からどんどん人が入ってきて、昭和30年代からホワイトカラーも多 くなるし、9to5(9時から5時までは働く)というライフスタイルが国民レベルで 広がったのも、意外でしょうがこの時期です。 一番上に戻る ■サラリーマンライフは幻想。高度成長期の産物 今僕らが生活しているライフスタイルというのは、誕生は大正からで、定着するのは 昭和30年代の東京オリンピック以降です。9to5で会社に行って24、5歳から 65歳くらいまで勤め上げるというのは、実はマスコミが作り出した幻想なんですよ、 そんなものは元々無い。40年代以降の労働組合寄りのマスコミが作り出しただけ。 そういう大組織型サラリーマン的なライフスタイルは当時ですらメジャーじゃないん です。例えば、ホワイトカラーのオフィスワーカーが、生産の中心イメージになって いくのは、高度成長、万博が終わって、学園紛争が収束してからやっと本格化的なっ ていくんですよ。 一番上に戻る ■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた SOHOというのはカウンターカルチャー的です。大量生産・大量消費に抵抗感を持っ ている。シューマッハの『スモールイズ・ビューティフル』ですね。就職しないとか 会社には行かないとか、自分を大事にするとか自分の好きなことだけやっていたい。 あまり生産と消費の仕組みの中に入って、そこで時間的なコントロールを受けたいと は思っていない。ジョンレノンの『イマジン』のようなもんです。実は、現代的な SOHOは、自由な意識をなによりも大事にしてきた現代の高度化消費社会と一緒に 成長してきている。良くも悪くも、メディアが30年間くらいプロモーションをして きた背景がある。言い換えると、今の70年代以降の高度化消費社会は、60年代のカ ウンターカルチャーの精神がベースになっている。例えば、コドモたちのなかでは、 受験勉強をして偏差値教育の中で終身雇用形態の官僚コースとかにまっすぐ向かって いこうというスタイルは、彼等的にはかっこわるい。「そういうのはイケてない」と 30年前から繰り返し、マスメディアが報道もしてきたしドラマ等で洗脳してきた。 じゃあなぜSOHOのようなものがいままで認知されていなかったのか?多分、社会 の本音と建て前の分離ですよね。若い人たちのライフスタイルを見ているとほとんど SOHO的なライフスタイル志向ですが、実際は全ての人が特定の分野でスペシャリ ストとして、プロとして食べていけるわけがない。実力社会で才能ある人は評価され、 不安定かもしれないが、SOHOとして独立する。そうじゃない人は、つまらない人 生かもしれないが、安定した組織人として保障を得ていく。高度化消費社会というシ ステムは、常に市場の成長と破壊を求めますから、SOHO的なオルタナティブな世 界を煽りつつ、「生活者の自己実現」という欲望を消費に置き換えて、市場を延命し てきたのだと思います。 一番上に戻る ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 今の社会は、片方で消費文化を受け入れ、片方で団塊世代が生み出したカウンターカ ルチャーが、凶暴な消費社会にかわる世界を作れなかったとことに、とまどっている 状態だと思います。 特に80年代のバブルに向かう時代、キャッチコピー一つで消費を動かし市場を作って いったカタカナ文字業界のSOHOたちがいました。あの人たちがカウンターカルチャー のリアル世代です。そういう人たちがいわゆるマスメディアの業界にいて、フリーラ ンサーのくせにゲリラ的に情報発信をして企業を引っ張っていく。決して企業が音頭 を取るわけでも無くて、SOHOである一コピーライターやプランナーとか芸術家だ とか演劇人が企業の資本を使って、現代のような、あやふやなピンボケ社会を作った わけです。だから良くも悪くも当時の60〜80年代の文化人とかSOHOに、未来の イメージをつまみ食いをした責任があると僕は思っている。 『スローライフ』というコンセプトが最近はやっていますね、行政の人は特にその言 葉をよく使います。つまり、抵抗文化的なものを公的組織が自ら提唱するが、でもそ れとは水と油の大組織主義や官僚制度は全然変わっていない、共存しているわけです。 その差を誰がどう埋めていくのかということかと思います。 SOHO的な社会というのは昔からありました。ITを使って「場所と時間に拘束さ れない」ライフスタイルやワークスタイルの実現---これは昔では、一部特権的なス ペシャリストの人たちが持ち得たSOHOスタイルだったんですが、これが今日、一 般化しつつあります。ここ5年間くらいのSOHOブームというのはまさにそれです。 いままで仕事をしちゃいけなかった人たち、仕事を出来る環境になかった在宅の主婦 とか障害者の人やシニアの人、あるいは学生とか、あるいは週末の副業とか、そうい うワークスタイルのモデルにならない人たち、あるいはそういう世界に入れなかった、 条件がなかった人たちがITを使って家にいながらに、子育てをしながらでも仕事が 出来る。あるいは会社に属していなくても能力の切り売りをすることで仕事が出来る。 この可能性は、従来のシステムにはショッキングな事件です。 一番上に戻る ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
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■大政翼賛会以降の労働組合と業界別自営ネットワーク 大正時代、1920年代ぐらいから今のモダンライフの原型が出てきて、戦時中に自営 系や中小企業なんかも大政翼賛会のシステムの中に組み込まれて、国と一緒に計画的 な生産労働をやろうということになった。だから国家社会主義的な政策が入ってきて、 片方で工場の労働組合があって、自営系の人は翼賛会に入って、日本の場合はそれが 戦後も残ったんですよ。残って冷戦の左右対立の時代の中で、片方では労働運動、片 方の自営系の人は、自民党などの与党政府に吸収されて縦割りの業界別のネットワー ク・組織の中で仕事をするようになった。生涯仕事が保証されるわけではないが、比 較的行政と縦割りの団体がいい関係を結びながら計画生産できた時代。経済が成長し ていたので、昭和40年代くらいまではそれでうまくいった。しかも都市人口がどん どん増えて農村からどんどん人が入ってきて、昭和30年代からホワイトカラーも多 くなるし、9to5(9時から5時までは働く)というライフスタイルが国民レベルで 広がったのも、意外でしょうがこの時期です。 一番上に戻る ■サラリーマンライフは幻想。高度成長期の産物 今僕らが生活しているライフスタイルというのは、誕生は大正からで、定着するのは 昭和30年代の東京オリンピック以降です。9to5で会社に行って24、5歳から 65歳くらいまで勤め上げるというのは、実はマスコミが作り出した幻想なんですよ、 そんなものは元々無い。40年代以降の労働組合寄りのマスコミが作り出しただけ。 そういう大組織型サラリーマン的なライフスタイルは当時ですらメジャーじゃないん です。例えば、ホワイトカラーのオフィスワーカーが、生産の中心イメージになって いくのは、高度成長、万博が終わって、学園紛争が収束してからやっと本格化的なっ ていくんですよ。 一番上に戻る ■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた SOHOというのはカウンターカルチャー的です。大量生産・大量消費に抵抗感を持っ ている。シューマッハの『スモールイズ・ビューティフル』ですね。就職しないとか 会社には行かないとか、自分を大事にするとか自分の好きなことだけやっていたい。 あまり生産と消費の仕組みの中に入って、そこで時間的なコントロールを受けたいと は思っていない。ジョンレノンの『イマジン』のようなもんです。実は、現代的な SOHOは、自由な意識をなによりも大事にしてきた現代の高度化消費社会と一緒に 成長してきている。良くも悪くも、メディアが30年間くらいプロモーションをして きた背景がある。言い換えると、今の70年代以降の高度化消費社会は、60年代のカ ウンターカルチャーの精神がベースになっている。例えば、コドモたちのなかでは、 受験勉強をして偏差値教育の中で終身雇用形態の官僚コースとかにまっすぐ向かって いこうというスタイルは、彼等的にはかっこわるい。「そういうのはイケてない」と 30年前から繰り返し、マスメディアが報道もしてきたしドラマ等で洗脳してきた。 じゃあなぜSOHOのようなものがいままで認知されていなかったのか?多分、社会 の本音と建て前の分離ですよね。若い人たちのライフスタイルを見ているとほとんど SOHO的なライフスタイル志向ですが、実際は全ての人が特定の分野でスペシャリ ストとして、プロとして食べていけるわけがない。実力社会で才能ある人は評価され、 不安定かもしれないが、SOHOとして独立する。そうじゃない人は、つまらない人 生かもしれないが、安定した組織人として保障を得ていく。高度化消費社会というシ ステムは、常に市場の成長と破壊を求めますから、SOHO的なオルタナティブな世 界を煽りつつ、「生活者の自己実現」という欲望を消費に置き換えて、市場を延命し てきたのだと思います。 一番上に戻る ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 今の社会は、片方で消費文化を受け入れ、片方で団塊世代が生み出したカウンターカ ルチャーが、凶暴な消費社会にかわる世界を作れなかったとことに、とまどっている 状態だと思います。 特に80年代のバブルに向かう時代、キャッチコピー一つで消費を動かし市場を作って いったカタカナ文字業界のSOHOたちがいました。あの人たちがカウンターカルチャー のリアル世代です。そういう人たちがいわゆるマスメディアの業界にいて、フリーラ ンサーのくせにゲリラ的に情報発信をして企業を引っ張っていく。決して企業が音頭 を取るわけでも無くて、SOHOである一コピーライターやプランナーとか芸術家だ とか演劇人が企業の資本を使って、現代のような、あやふやなピンボケ社会を作った わけです。だから良くも悪くも当時の60〜80年代の文化人とかSOHOに、未来の イメージをつまみ食いをした責任があると僕は思っている。 『スローライフ』というコンセプトが最近はやっていますね、行政の人は特にその言 葉をよく使います。つまり、抵抗文化的なものを公的組織が自ら提唱するが、でもそ れとは水と油の大組織主義や官僚制度は全然変わっていない、共存しているわけです。 その差を誰がどう埋めていくのかということかと思います。 SOHO的な社会というのは昔からありました。ITを使って「場所と時間に拘束さ れない」ライフスタイルやワークスタイルの実現---これは昔では、一部特権的なス ペシャリストの人たちが持ち得たSOHOスタイルだったんですが、これが今日、一 般化しつつあります。ここ5年間くらいのSOHOブームというのはまさにそれです。 いままで仕事をしちゃいけなかった人たち、仕事を出来る環境になかった在宅の主婦 とか障害者の人やシニアの人、あるいは学生とか、あるいは週末の副業とか、そうい うワークスタイルのモデルにならない人たち、あるいはそういう世界に入れなかった、 条件がなかった人たちがITを使って家にいながらに、子育てをしながらでも仕事が 出来る。あるいは会社に属していなくても能力の切り売りをすることで仕事が出来る。 この可能性は、従来のシステムにはショッキングな事件です。 一番上に戻る ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■サラリーマンライフは幻想。高度成長期の産物 今僕らが生活しているライフスタイルというのは、誕生は大正からで、定着するのは 昭和30年代の東京オリンピック以降です。9to5で会社に行って24、5歳から 65歳くらいまで勤め上げるというのは、実はマスコミが作り出した幻想なんですよ、 そんなものは元々無い。40年代以降の労働組合寄りのマスコミが作り出しただけ。 そういう大組織型サラリーマン的なライフスタイルは当時ですらメジャーじゃないん です。例えば、ホワイトカラーのオフィスワーカーが、生産の中心イメージになって いくのは、高度成長、万博が終わって、学園紛争が収束してからやっと本格化的なっ ていくんですよ。 一番上に戻る ■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた SOHOというのはカウンターカルチャー的です。大量生産・大量消費に抵抗感を持っ ている。シューマッハの『スモールイズ・ビューティフル』ですね。就職しないとか 会社には行かないとか、自分を大事にするとか自分の好きなことだけやっていたい。 あまり生産と消費の仕組みの中に入って、そこで時間的なコントロールを受けたいと は思っていない。ジョンレノンの『イマジン』のようなもんです。実は、現代的な SOHOは、自由な意識をなによりも大事にしてきた現代の高度化消費社会と一緒に 成長してきている。良くも悪くも、メディアが30年間くらいプロモーションをして きた背景がある。言い換えると、今の70年代以降の高度化消費社会は、60年代のカ ウンターカルチャーの精神がベースになっている。例えば、コドモたちのなかでは、 受験勉強をして偏差値教育の中で終身雇用形態の官僚コースとかにまっすぐ向かって いこうというスタイルは、彼等的にはかっこわるい。「そういうのはイケてない」と 30年前から繰り返し、マスメディアが報道もしてきたしドラマ等で洗脳してきた。 じゃあなぜSOHOのようなものがいままで認知されていなかったのか?多分、社会 の本音と建て前の分離ですよね。若い人たちのライフスタイルを見ているとほとんど SOHO的なライフスタイル志向ですが、実際は全ての人が特定の分野でスペシャリ ストとして、プロとして食べていけるわけがない。実力社会で才能ある人は評価され、 不安定かもしれないが、SOHOとして独立する。そうじゃない人は、つまらない人 生かもしれないが、安定した組織人として保障を得ていく。高度化消費社会というシ ステムは、常に市場の成長と破壊を求めますから、SOHO的なオルタナティブな世 界を煽りつつ、「生活者の自己実現」という欲望を消費に置き換えて、市場を延命し てきたのだと思います。 一番上に戻る ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 今の社会は、片方で消費文化を受け入れ、片方で団塊世代が生み出したカウンターカ ルチャーが、凶暴な消費社会にかわる世界を作れなかったとことに、とまどっている 状態だと思います。 特に80年代のバブルに向かう時代、キャッチコピー一つで消費を動かし市場を作って いったカタカナ文字業界のSOHOたちがいました。あの人たちがカウンターカルチャー のリアル世代です。そういう人たちがいわゆるマスメディアの業界にいて、フリーラ ンサーのくせにゲリラ的に情報発信をして企業を引っ張っていく。決して企業が音頭 を取るわけでも無くて、SOHOである一コピーライターやプランナーとか芸術家だ とか演劇人が企業の資本を使って、現代のような、あやふやなピンボケ社会を作った わけです。だから良くも悪くも当時の60〜80年代の文化人とかSOHOに、未来の イメージをつまみ食いをした責任があると僕は思っている。 『スローライフ』というコンセプトが最近はやっていますね、行政の人は特にその言 葉をよく使います。つまり、抵抗文化的なものを公的組織が自ら提唱するが、でもそ れとは水と油の大組織主義や官僚制度は全然変わっていない、共存しているわけです。 その差を誰がどう埋めていくのかということかと思います。 SOHO的な社会というのは昔からありました。ITを使って「場所と時間に拘束さ れない」ライフスタイルやワークスタイルの実現---これは昔では、一部特権的なス ペシャリストの人たちが持ち得たSOHOスタイルだったんですが、これが今日、一 般化しつつあります。ここ5年間くらいのSOHOブームというのはまさにそれです。 いままで仕事をしちゃいけなかった人たち、仕事を出来る環境になかった在宅の主婦 とか障害者の人やシニアの人、あるいは学生とか、あるいは週末の副業とか、そうい うワークスタイルのモデルにならない人たち、あるいはそういう世界に入れなかった、 条件がなかった人たちがITを使って家にいながらに、子育てをしながらでも仕事が 出来る。あるいは会社に属していなくても能力の切り売りをすることで仕事が出来る。 この可能性は、従来のシステムにはショッキングな事件です。 一番上に戻る ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■SOHO的なライフスタイル幻想が、高度化消費社会を支えた SOHOというのはカウンターカルチャー的です。大量生産・大量消費に抵抗感を持っ ている。シューマッハの『スモールイズ・ビューティフル』ですね。就職しないとか 会社には行かないとか、自分を大事にするとか自分の好きなことだけやっていたい。 あまり生産と消費の仕組みの中に入って、そこで時間的なコントロールを受けたいと は思っていない。ジョンレノンの『イマジン』のようなもんです。実は、現代的な SOHOは、自由な意識をなによりも大事にしてきた現代の高度化消費社会と一緒に 成長してきている。良くも悪くも、メディアが30年間くらいプロモーションをして きた背景がある。言い換えると、今の70年代以降の高度化消費社会は、60年代のカ ウンターカルチャーの精神がベースになっている。例えば、コドモたちのなかでは、 受験勉強をして偏差値教育の中で終身雇用形態の官僚コースとかにまっすぐ向かって いこうというスタイルは、彼等的にはかっこわるい。「そういうのはイケてない」と 30年前から繰り返し、マスメディアが報道もしてきたしドラマ等で洗脳してきた。 じゃあなぜSOHOのようなものがいままで認知されていなかったのか?多分、社会 の本音と建て前の分離ですよね。若い人たちのライフスタイルを見ているとほとんど SOHO的なライフスタイル志向ですが、実際は全ての人が特定の分野でスペシャリ ストとして、プロとして食べていけるわけがない。実力社会で才能ある人は評価され、 不安定かもしれないが、SOHOとして独立する。そうじゃない人は、つまらない人 生かもしれないが、安定した組織人として保障を得ていく。高度化消費社会というシ ステムは、常に市場の成長と破壊を求めますから、SOHO的なオルタナティブな世 界を煽りつつ、「生活者の自己実現」という欲望を消費に置き換えて、市場を延命し てきたのだと思います。 一番上に戻る ■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 今の社会は、片方で消費文化を受け入れ、片方で団塊世代が生み出したカウンターカ ルチャーが、凶暴な消費社会にかわる世界を作れなかったとことに、とまどっている 状態だと思います。 特に80年代のバブルに向かう時代、キャッチコピー一つで消費を動かし市場を作って いったカタカナ文字業界のSOHOたちがいました。あの人たちがカウンターカルチャー のリアル世代です。そういう人たちがいわゆるマスメディアの業界にいて、フリーラ ンサーのくせにゲリラ的に情報発信をして企業を引っ張っていく。決して企業が音頭 を取るわけでも無くて、SOHOである一コピーライターやプランナーとか芸術家だ とか演劇人が企業の資本を使って、現代のような、あやふやなピンボケ社会を作った わけです。だから良くも悪くも当時の60〜80年代の文化人とかSOHOに、未来の イメージをつまみ食いをした責任があると僕は思っている。 『スローライフ』というコンセプトが最近はやっていますね、行政の人は特にその言 葉をよく使います。つまり、抵抗文化的なものを公的組織が自ら提唱するが、でもそ れとは水と油の大組織主義や官僚制度は全然変わっていない、共存しているわけです。 その差を誰がどう埋めていくのかということかと思います。 SOHO的な社会というのは昔からありました。ITを使って「場所と時間に拘束さ れない」ライフスタイルやワークスタイルの実現---これは昔では、一部特権的なス ペシャリストの人たちが持ち得たSOHOスタイルだったんですが、これが今日、一 般化しつつあります。ここ5年間くらいのSOHOブームというのはまさにそれです。 いままで仕事をしちゃいけなかった人たち、仕事を出来る環境になかった在宅の主婦 とか障害者の人やシニアの人、あるいは学生とか、あるいは週末の副業とか、そうい うワークスタイルのモデルにならない人たち、あるいはそういう世界に入れなかった、 条件がなかった人たちがITを使って家にいながらに、子育てをしながらでも仕事が 出来る。あるいは会社に属していなくても能力の切り売りをすることで仕事が出来る。 この可能性は、従来のシステムにはショッキングな事件です。 一番上に戻る ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■「場所と時間に拘束されないSOHO的ワークスタイル」 今の社会は、片方で消費文化を受け入れ、片方で団塊世代が生み出したカウンターカ ルチャーが、凶暴な消費社会にかわる世界を作れなかったとことに、とまどっている 状態だと思います。 特に80年代のバブルに向かう時代、キャッチコピー一つで消費を動かし市場を作って いったカタカナ文字業界のSOHOたちがいました。あの人たちがカウンターカルチャー のリアル世代です。そういう人たちがいわゆるマスメディアの業界にいて、フリーラ ンサーのくせにゲリラ的に情報発信をして企業を引っ張っていく。決して企業が音頭 を取るわけでも無くて、SOHOである一コピーライターやプランナーとか芸術家だ とか演劇人が企業の資本を使って、現代のような、あやふやなピンボケ社会を作った わけです。だから良くも悪くも当時の60〜80年代の文化人とかSOHOに、未来の イメージをつまみ食いをした責任があると僕は思っている。 『スローライフ』というコンセプトが最近はやっていますね、行政の人は特にその言 葉をよく使います。つまり、抵抗文化的なものを公的組織が自ら提唱するが、でもそ れとは水と油の大組織主義や官僚制度は全然変わっていない、共存しているわけです。 その差を誰がどう埋めていくのかということかと思います。 SOHO的な社会というのは昔からありました。ITを使って「場所と時間に拘束さ れない」ライフスタイルやワークスタイルの実現---これは昔では、一部特権的なス ペシャリストの人たちが持ち得たSOHOスタイルだったんですが、これが今日、一 般化しつつあります。ここ5年間くらいのSOHOブームというのはまさにそれです。 いままで仕事をしちゃいけなかった人たち、仕事を出来る環境になかった在宅の主婦 とか障害者の人やシニアの人、あるいは学生とか、あるいは週末の副業とか、そうい うワークスタイルのモデルにならない人たち、あるいはそういう世界に入れなかった、 条件がなかった人たちがITを使って家にいながらに、子育てをしながらでも仕事が 出来る。あるいは会社に属していなくても能力の切り売りをすることで仕事が出来る。 この可能性は、従来のシステムにはショッキングな事件です。 一番上に戻る ■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■インターネットで歴史が変わる。資本優位ではない社会とSOHO 一番凄いのは、インターネット革命でみんなが情報発信を出来るようになったこと。 これは根本的な違いですね。すべての人がインターネットを通じてもの申すことがで きる。若い人たちの間で人気がある「2ちゃんねる」では、40万人が常時巨大掲示 板に入って自由な交流をしている、延べ月に3000万人くらいの人が出入りしている。 今やマスメディアに取って代わりつつある、あの「まったりとした情報発信メディア」 というのは、巨大な社会装置になっているし、革新的なオルタナティブなコミュニ ティ です。常時何十万人という人が昔で言う仮想空間にいて、事件が発生すると即時にマ スコミ側と消費者が、同時にその場で議論しつつ、関係者のリークなどによる新しい 情報と次の展開をつくっていく装置。どの分野でも、質問すれば誰かが答えてくれる。 こういう社会システムは歴史上にかったことです。メデイアだけでなく、SOHO的 なネットワークが、がいろんな業界でやっていることは、今後の社会で根本的な変革 をしていくと思います。つまり、今まで資本がメディアや生産装置を独占していたが、 IT革命で、一般の市井の人がもてるようになった。しかも時間と距離に拘束されな いし、資本にもあまり拘束されない、お金があまりかからない。具体的なリアルな人 格とかリアルな組織、場所とかが無くても、バーチャルな世界では、自由な経済・政 治・文化活動まで出来る。この変革はディープですよ。 SOHOのネットワークは今も増加中です。googleでSOHOという単語を検索する と今35万から40万くらいのurl(サイト)が出てくる。中小企業と同数、ベンチャー の3倍です。国内には事業所オーナーが800万くらいいる。リアルに統計上出てく る数では10人以下の事務所が450から500万ケ所くらいある。そのうち150万 くらいが有限会社や株式法人になっていて、残り350万が未法人。これからは「一 円登記」で資本金ゼロでも会社ができる。法人とみなし法人の差が無くなっていく。 つまり、ネット上での活動では、1円で株式会社を作って子供部屋から情報発信する ことも出来るし、ベッドの上で会社活動をすることもできる。こういうことがごく当 たり前になっていく。先進国ではいずれ税法的にも「一家に一社の時代」になるでし ょうね。 サラリーマンがハシリの頃にできた俸給生活者同盟、当時は8%くらいで、少数だか ら同盟をつくったわけでしょう。96年に僕らがSOHOギルドというのを始めた頃 は同じように少人数だったんです。ITを使っている人は人口300万人もいなかっ た。少数だからSOHOギルドや日本SOHO協会をつくった。ところが今はネット ユーザーは7000万人もいるんで、もうそういうことをする必要は本当はないのか もしれない。制度はまだついてきていないけれども、この数年間でITが爆発的に普 及しましたから、あえてSOHOと名乗る必要もないくらい、ITライフスタイル・ ワークスタイルは普及したと思います。 一番上に戻る ■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■SOHOの弱さをカバーするネット口座、カードなどを創設 巨大なSOHO市場一〇〇兆円、損金二〇兆円を背景に。 私たちはネット銀行と一緒にSOHO専用のネット口座づくりをやったり、未法人で も持てる福利厚生サービスつきの法人クレジットカードつくったりしています。また、 SOHOというのは身分証明がなかなかできないんで、事業者存在証明IDを出すた めに、総務省で『SOHO・ID』というのを実験発行しています。かってはテレワー ク減税とか、IT講習会などもしましたが、SOHO協会や僕らの活動というのは、 行政に対してSOHOの支援システムを働きかけることも重要なんですね。予算はほとん どつきませんが。 SOHOの会社の損金(事務所維持コスト:電話代、マネジメント全般、金融、保険、 コピー代、バイク便、空間、機材など)市場というのは20兆円くらいあります。平均 月額38万円くらいかかっている。就業者10人以下が約500万事業所ですが、平 均人数は3人くらいなんです、それで年間400万くらいの経費を払っています。そ うすると20兆円くらいになる。ぼくは政府の統計数字から算出したんですが、20 兆円といったら巨大です。日経新聞でも報道はされましたが、経済学者の反応は鈍い ですね。 その市場の中で、たとえばアスクルという会社は分厚いカタログ作ってますね、電話 したら次の日持ってくる、あれは9割以上の顧客がSOHOです。いま120万口座 くらい契約してますけど、大企業というのはもともと数万社しかないんです。株を上 場している公開企業というのは3000社です。IPO(店頭公開)ブームの頃、小 泉さんたちが、どんどんベンチャーは公開して、みんな経済的に独立しようよ、と言っ てました。独立自営SOHOブームをバックアップすることはいいと思うんですが、 根本的に間違っているのは高々3000社しか公開できないルールでしょう、500 万もの事業所があるんだから、ミスマッチするに決まってるわけですよ。我々の会社 が公開なんかできるわけがないんですよ。やはり、あっという間に失速しました。 SOHOは損金市場20兆円ですが、その4倍以上の売り上げ、おそらく100兆円 くらいの売り上げ規模があるでしょう。日本のGDPは500兆円と言われてますか ら、2割はSOHO関連市場です。大手企業というのは株を持ちあって、雇用者の消 費に関しては30年以上の終身雇用保障をすることで、計画消費が出来るといううま い構造を作ったわけですが、一方SOHOは信用がないからローンをくめないとかお 金を借りられない。受注業務に関してはボトムですから下請けですよね、非常に激し い価格競争で、まさに命を削ってやっていますね。 一番上に戻る ■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■SOHOを集団・組織文化で強化できるのか? 産業政策としてのSOHO育成が必要。 SOHOは集団主義や組織主義でやれるのかというと、本質的に独立自営というのは バラバラですから、大企業のような保証制度があるといいとは思います。コミュニティ 主義のようなものはSOHOに非常に近い。コミュニティ運動をしている人たちSOHO そのものです。たまたまITという要素が強いか弱いかというだけで。都市SOHO って政治色が無いんですね、なぜ無いかというとアンチ組織だからでしょう。未組織 というのは民主主義制度の中では、やっぱり力をもたない。 しかし、もとも組織化されたSOHOというのは非常に大きな力を持つ、例えば農協 や建築業は、ボトムの部分はみんなIT抜きでとらえれば、典型的なドメスティクな SOHOですよ。近代政府というのはマイノリティーや弱者のために存在するし、弱 者が求心化して政府を作るわけですから、そういう意味じゃIT時代の政府のあり方 みたいなものも当然変わっていかなければいけない。だから国がコミュニティビジネ スとかにどんどん予算をつけたりというのは当たり前の話なんですが、ただ拡大・再 生産に向かうルールの部分があまり感じられない。農業政策のように拡大生産しなく てもいいんだと、とにかく種を残すことだ、これは重要だと思います。シニアマーケッ トにたいして今やってるコミュニティビジネス論とか、在宅の主婦、商店街の再生論 は、私には表面的な対策をしているふりをしているだけで、根本的な対策ができてい ない感じがあります。しかも他の産業対策と予算の規模が違いすぎる。 アメリカの連邦政府はSOHOに対して1%優先入札権をだしている。これはSOH Oとか先住民族に対して、マイノリティだから、競争力が低いから優先入札権をつくっ ているわけです。日本でも舗装業界というのは大手企業が受注できない、小規模事業 者から順番に受注するので、逆に社会問題化している、小さいSOHO、2、3人の 会社が受注して大手に丸投げしちゃう「上請け制度」です。 公共事業は、なんでいつも土木・農業なんだ?人口比・市場の動き・都市型ライフス タイル、どう見ても農業・土木じゃないだろうと。ここがSOHOとして一番言いた いところですね。なんでカタカナ文字系の人たちに仕事を出さないのか。たとえば東 京に演劇の劇団が3000ある、そのうち9割が食べれてない。自称カメラマンと名乗っ た人は10万人近くいるが95%食えていない。イラストレーター・漫画家もそう。漫 画を描いている人は70〜100万人もいて、プロとしてやっている人が5万人規模。 紙のメディアだけでも常時2000媒体が発行されている。一日の新刊書籍は300件で、 版元は全部で6千社、著作権を持ってる人は40万人もいる。マスコミやコンテンツ 産業、カタカナ業に属している人は膨大なんです。しかも今インターネットのURLの 数は日本語URLだけでも3000万とも1億ともいわれています。インターネット ユーザーというのは携帯を入れれば7000万人ですから、そういうことを考えると、 なんでそこに対して官公需要で仕事を落とさないのか。不況の音楽業界に対して 1000億の仕事を落とせばいいんですよ、景気回復の好循環のためのリアルな発想を なんでもたないのか、不思議で仕方ないですね。 一番上に戻る ■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■フリー、クリエイター、ベンチャーがSOHOのコア。 これからは本業、副業の考え方も変わる。 SOHOはITという要素が強い。いろいろな人たちがいるんですが、おおざっぱに 分けると情報サービス系の中でも「ベンチャー」と「クリエイター」と「フリーラン サー」をコアSOHOと呼んでいます。その他に、資格者型、営業型、社内型などの 区分の仕方もある。 それから商工会に属しているような中小企業、一番注目されているのは副業、在宅主 婦、NPOとかフルタイムで働いているわけではないけど、オフィス活動を事実やっ ている人たち、この人たちの人口が大きいんです。だからワークシェアを絶対にしな いと駄目だなと思います。それと企業内にいるテレワーカー、企業の中の代理店や FCや在宅勤務の人たちの人口も増えている。オフィス活動でいえば宗教団体や議員 等も、当然SOなわけで、宗教団体なんかまさにHO。だから「働く」という視点だ けで切っていくと、本業と副業という考え方もおかしくて、ハリウッドの俳優活動を している人は、本業は何かと聞かれると「俳優ですが、レストランで働いている」け れどもあくまで収入を得ている方が副業なんです、本業は年二回の公演をやる赤字だ らけの演劇の劇団員...。そこが欧米と日本の労働観の違いでしょうね。 一番上に戻る ■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る
■労働、仕事、活動などの考え方を変えよう。 SOHOは会社人間の憧れではなく現実。 そこから社会を変えよう。 「働く」という言葉は、job、working、actionとか、それぞれ意味が違います。 SOHOでは、「働く」内容が重要なんです。workingは遊びも含めて働いている、 jobはどっちかと言えばしんどい労働、actionは活動。NPO活動なんかはaction、 「社会活動」として働いている。「officeというのは仕事・労働・活動をする拠点」 なんです。SOHOというと家で労働しているイメージがあるが、そうとらえない方 がいいと思います。家で仕事をしている・家で活動している。主婦が家でホームペー ジを作っている、これはホームワーク活動ですよね。NPOもそういう風にとらえる べきで、それが収益につながるかどうかは別問題。だから9to5的な雇用形態や収 益事業のみを「働く」ことの軸にすると、いろんな意味でズレていく。そういう意味 で「スローライフ」を提唱すのは凄く賛成です。ただスローライフを実践している人 たちでなく、最近は高額なギャランティをもらっている企業人や、公務員がスローラ イフを提唱している。SOHOもそうですが「SOHOはいいねー」と言う人に限っ て、9to5の労働に固執してますよ。なかなか会社を辞めないですね(笑) 一番上に戻る