■通産省系流通SOHO新業態開発会議 第2回より

1.日 時  平成9年10月17日(土) 
2.場 所  日本B 協会 会議室
3.出席者 
        日本B 協会      :会長、常務、事務局長
        リコー        :顧問        
        中真堂        :取締役        
        清和ビジネス     :室長        
        西川産業       :次長        
        山三事務機      :常務        
        日本電気       :マネージャー        
        ヒロマルチェーン   :次長        
        ウッドランド        
   講演   SOHOギルド事務局 :河西、向笠  
4.ビデオ放映&講演
【NHKテレビ番組「なるほど経済」】
(1).SOHOはなぜ増えるのか。
  フレックスプレイス制度紹介・・・BUG社(札幌)の事例紹介
  広報担当女性社員が夫の転勤とともに仙台へ。そのまま、ネットワーク
  利用して仕事続けている事例。

  国分裕之氏、スプレッドM4社社長、学生。
   年商1億円、50人の学生を使っている。
   パソコン家庭教師、HP作成、サイト運用が主な仕事
   ネット上で新株発行、htttp://www.jnews.com/

■まとめ■
 流れは必然的。大きな意思決定は小さな意思決定の積み重ね。
 SOHOビジネスが新しいSOHOビジネス産む。例:モデム

(2).なぜSOHOするのか。
  NEC電子コンポーネント販売事業部 営業社員長尾真氏の事例。
   HHCと形態電話は会社支給。
   出社は週に1〜2回
   導入前は1日1社しか回れなかったのが、導入後は2社回れるように
   なった。
 【副社長コメント】
   大部屋、集団で仕事するよりも集中力高まる。
   将来は4万人全社員に導入予定。
   賃金問題、労災等の問題どうするか。社内的に全般的なガイドライン
   作成中
   Face To Face でなくなる不安が背景にある。

  ・なぜ導入するかアンケート
   コスト削減、ホワイトカラーの生産性向上、ゆとり、人材確保の順

  ・なぜ導入しないのか
   適した職種がない、管理が困難等

 野村総研・研究員・藤元健太郎氏
  現在の日本では勤務態度で評価される。
  自宅・会社をつないでお互い見られるようにする試みもあるほど。

(3).新しい流れはつくれるか
  SOHOギルドの紹介
   専門能力を持った人達が集まってバーチャルカンパニーつくる。

  一橋大学米倉氏コメント
   仕事もあそびもこなせる「地域」が重要。

  ゲスト田中寅彦氏コメント
   サラリーマンはこれから勝負師にならざるを得なくなっていく。
   国のバックアップ体制はどうなっているのか。

【河西氏ご講演】
・SOHOはスマートバレーが発祥の地、元々は金融関連用語、技術系ベンチャーを指して言った言葉。

・SOHO定義
 潜在総数4100万人(20人以下の全産業のSOHO)
 情報・サービス系 600万人
 在宅ワーカー   600万人
 従来型中小企業 2900万人

・SOHO研究の活発化
 すでに100くらいの研究会立ち上がっている
 MS&NTT連合=ワインプロジェクト LANシステム450万セット売る目論見

 国の今後の方針としても、「生き方」ライフスタイルでマイスター、価値観の変化を探る動き。ただ、SOHOという言葉は未だ使用されるに至っていない。←インテリア、家具、オフィス回り、文具等SOHO市場意識した動き
   コクヨ、SOHO営業部持っている。

  SOHOハウジングのコンセプト
 過疎地、中山間地活性化のメニューとしてSOHO事例研究
 最近都心に建築されるマンションでもインターネット対応は当たり前に
 なってきている。
 サポートする主要サービスとしては、KSD財団、中央会など

・SOHO事業内訳について
 情報系SOHOは平均2年で住所かわる傾向(デジタル遊牧民)
 雇用形態曖昧(終身型ではない)
 長期的に店頭公開しようとかそういう考えは基本的にない
 アーチスト債券のような試みもある(欧米)
 プロジェクト単位での資本の流通(ハリウッド型の投資)

・ネット系SOHOについて
 仕事斡旋情報が主な内容
 今年にはいってから急激に数が増えてきた。

5.議事
リコー
 ビデオにもあったようにこれからは、SOHOには馴染まないような、土地・労働・資本を使った伝統的収穫逓減型産業とSOHOに適した知識創造型産業が併存していくような時代になるのではないか。

NEC
 ビデオにあったテレワークは現状ではあくまでも特別な形態である。週に1、2回出社すれば良いということはないと聞いている。

ジェフサ
 SOHO参加の職種のなかで小売が多いが何か理由あるのか。

河西氏
 必ずしもリアルの世界で小売をやっている人がバーチャルの世界でも小売をやっているわけではない。
 「こだわり商品」がインターネットに向いている。たとえば映画「もののけ姫」「エヴァンゲリオン」などが良い例であろう。関連含めて300億円の売上げがある。
 消費者がマーケット作り出すようになってきている。

◆清和ビジネス
 インターネットについては基本的にまだまだこれから勉強しなければならないと思っているが、基本的にはインターネットにはどのようなものが適しているのか。

河西氏
 インターネットということではないが、文房具の「アスクル」の例が示唆に富んでいる。インターネットは基本的に「安・近・短」が重要である。手を伸ばせばそこに申し込み用紙があるというのが理想的である。新しい生協のイメージか。

◆清和ビジネス
 アスクルは非常に成功している。インターネットを使わずFAXだけのやり取りだが、本来の事業を上回る勢いだ。

◆山三事務機
 アスクルの成功については、文具専門店から圧力をかける動きがあったと承知している。文具専門店にマージン落ちるしくみになっている。
 また、商流・物流切り離したところに何か新しい発展があるかもしれない。
 地域の有力者に販売を委ねる「地域販売員」のような仕組みは考えられないか。

河西氏
 卸・小売といった従来型の流通ではなくて、我々がいうところのチューター、エージェントといった仕組みが重要になってくる。抱き合わせ販売というと語弊があるが、異業種提携することで、関連商品を売ることができる。現在でいうと、損保+自動車販売のイメージ。

中真堂
 宝石だけというのではなかなか売上げを伸ばせなくなってきているのが現状である。宝石以外の業種と連携していく方向をめざしたい。また、宝石の商品データベースをきちんとつくって行きたい。

河西氏
 高価な商品についてフェイストゥーフェイスでないと恐い面がある。このような商品は世の中でトレンド作りをしている人を引き込んでいくことが必要である。例えば、有名人がホームページで推薦すると売れるようになったりする。若者はブランドよりもストーリーを消費するという点を指摘したい。
 第4日曜日に有明で開かれるフリーマーケットには1万5千人もの人が集まる。そこに買い物のために集まる人達はスーパーや百貨店に足を伸ばすことは少ない。こだわり商品をフリーマーケットで買い求め、それ以外の身の回り品はコンビニで事足りるという状況だ。

 NHKビデオでも地域という視点を重視した発言があったが、例えば、今我々が拠点としている原宿でも「原宿SOHO」という企画が進んでいる。野村総研が仕掛けたものだ。原宿を中心とした神宮界隈には8商店街(加盟店600店舗)があるが、商店街に加盟していないSOHOは2500店ある。これらをネットワーク化する方策は何か。

西川産業
 SOHOそのものを顧客とする観点と、消費者と我々をつなぐSOHOという2つの視点があって問題が複雑化している。

河西氏
 この議論はトフラーの言う「プロシューマ」概念を想起させる。生産する者と消費する者が同一である。SOHOの出現は従前からのビジネススタイルの変革でもあるかもしれない。SOHOはビジネスオンリーではなく、生活スタイルであり、NPOにも通ずる一面を持っている。

ウッドランド
 SOHOにおいてはインターネット利用を必須条件とするものではない。通信環境が大きく変わったから目立つが、以前でもSOHOといえるスタイルはあった。
 また、地域の顔役が商店になり得るのではないか。様々な通信手段の利用を前提にSOHOを考えたい。

会長
 長期的な話をするのならトフラーでいいかもしれないが、ここでは視点を短期に持ちたい。販促をどうするかである。SOHOを対象とする商売よりも、SOHOの「仕組み」を通じて販促を考えて行きたい。
 その意味で、ここにお集まりの委員のみなさんが属される組織において、どのようなSOHO形態が可能か是非、提示していただきたい。

【以  上】


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