■kawanyのSOHO スタイル日記■
  在宅SOHOのメリット


 さて、事務所をたたみ、赤坂の自宅兼オフィスに引っ越しした 話の続きです。僕の場合は、身重の妻と愛犬と暮らす自宅と隣 接する空き地に、9階立てのマンションが建設されることになり、 その工事の騒音と振動の中でマジに「生命の危機」を感じたのが 引っ越しの直接の理由。
「こんなとこで出産・育児ができるか!」とあの手この手で粘り強く 交渉して得た若干の慰謝料で、妻がインターネットで探しだしてき た、このペット可の赤坂の期限付き格安物件をゲットしたわけである。
 代々木にあった中古の戸建ては売れるはずもないので、同様の 志向のSOHOにローン相殺リースに。居住スペースとオフィスル ームがある程度分離できる間取りだし、SONYエンターテイメント ビルが目の前に見える青山通りそばの立地で坪1万円!という 「ついにここまできたか〜」という値ごろ感もあって、即決、 即引っ越しというわけだ。

 ところで、こうして始まった赤坂でのSOHO生活だが、 実際暮らしてみると思ってもいなかったメリットとデメリット が見えてくるもの。以下、簡単に紹介してみよう。

◆SOHOのメリット◆
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●当たり前だが家賃が安い!

以前事務所と自宅両方に払っていた家賃の約半分になったのだから、 大した節約である。電光熱費も約半分に。 さらに当初6カ月分はこちらも忘れていたのだが、何故か管理会社 の未確認で引き落としゼロ!道理で家計が楽だった(でも後が大変!)

●「職住一致」で移動のコストと時間がゼロ!

便利な立地だと、打ち合わせにも相手が来てくれる。
まさに「職住一致」生活なので、通勤を含む移動のコストと時間が 果てしなくゼロに近くなったのは大きなメリット。これからSOHO 事務所を開こうという人にはハンパな都市近郊の住宅街よりも無理し てでも都心のど真ん中を勧めたい。タクシー代などの交通費の節約 だけで家賃の割高はペイできる。そして、時間はお金では買えない のだ。さらに、出かけなければ遅刻もしない(笑)。これは時間の プレッシャーに弱いひとには精神的にかなり楽なのである。

●気分はジョンレノン?毎日がon sunday

「家庭の時間を味わう」も何もずっと家だっちゅーの(笑)。
以前はよく妻に「早く帰ってきてよ」と責められたが、今は「ちった あでかけてくれ」と思われているのではなかろうか。愛犬の黒犬が 留守番の寂しさから家中をメチャクチャにして復讐を計るという事も なくなった。好きなときに散歩に連れていけるし、「神宮の犬集会」 も近くだ。(関係ないがうちの黒犬はかって”神宮のボール魔王” と呼ばれ、死んでもボールを離さないほどの熱愛犬として有名である)
 来客者はこの異常なほど人好きの黒犬に熱烈歓迎されて、かなり 迷惑してるはずだが、その場の空気をなごませてもくれる接待要員 でもある。
最近生まれた赤ん坊も、以前の僕だったら恐らく寝顔しか見れず、 たまの休みに抱いてみれば人見知りして泣かれるというパターンだっ たろう。思い出もお金では買えないのだから、ジョンレノンじゃない けれどベビーの成長をそばで見れるのは至極ハッピーなのかもしれない。 ただ、これは妻にも都合がいいらしいが、徹夜明けで寝ている僕の横にそっ と捨て子を置いていくようにして出かけていくのはやめてほしい(T-T)

◆SOHOのデメリット◆
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●毎日が合宿!プライバシーがない。居留守も使えない。

事務所に毎日スタッフが通勤してくるので、基本的に鍵は明けっ放し。 いちいちチャイムも鳴らさないので自宅でありながら裸でウロウロな どできない。また、部屋着も最低限佐川急便のお兄ちゃんがびっくり しない程度のものを着るべきだろう。一つしかないトイレがふろ場の 横で簡単な間仕切りしかないため、事務所に人がいると家族が好きな ときに風呂にも入れない。急用の際にはスタッフに寝室をノックされ る事すらある。合宿のようにみんなでなべを囲むほのぼの空間もある 一方で、SOHOにはプライバシーも逃げ場もないのである。

●妻との熾烈を究める領土紛争!ベビーも会議に参加

事務所スペースは以前の約半分になった。打ち合わせスペースも狭い。 一方、居住スペースのリビングは以前の倍になった。当然、僕は大切 な打ち合わせはリビングでゆったりやりたいと思う。しかし赤子を抱 えた妻はプライベートスペースは確保したいと主張する。ここでいつ も領土紛争が起こるのである。赤子の泣き声に娘を抱いての会議は、 さすがに来客との間では出来ないが、内輪のときはちょこりんとベビ ーカーで参加していたりするから、いずれお気に入りのスタッフが パパと呼ばれる日も遠くないだろう(T-T)
また、増えつづける資料類が静かに居住スペースを侵食していくという 問題もある。

●SOHO長屋?24時間働けますか!?

移動時間がゼロというのはメリットでもあるが、裏を返せば24時間 自宅で仕事どっぷりの可能性も高い。いつでも出来るという気軽さは オフィス独特の緊張感を緩ませるので、要注意。 さらによく考えれば、HOには自分のプライベートな時間も場所もなく なることが多くなる。これは個人のスタイル、生理の問題であろうが、 他人が住環境に出入りすることが耐えられないという人も多いだろう。 僕のような境界線があいまいな環境に鈍い人には向いているといえる かもしれない。基本的にSOHOは長屋である。

 以上がこのSOHOに越してきた経緯と実際4ヶ月過ごしてみて 感じたメリットとデメリットの感想だ。実はこの家は「赤坂SOHO アンテナハウス」として一般に広く「職住一致」の実体を知らせると いう役目も担っている。今後、どのような展開が起こるかは、またの 機会にお知らせしたい。(続く)

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●河西保夫(プランニングプロデューサー・SOHOギルド事務局代表)
オンラインマガジン「べんべん」原稿より


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